2学期最初の算数で行った「毒りんごゲーム」の授業記録です。りんごを交互に食べていき、最後の1個を食べた人が負け。ただの運試しに見えるゲームが、「必ず勝てる方法があるらしい」と気づいた瞬間から、子どもたちの探究が始まりました。
どんなネタか
2人で交互に、1個〜3個ずつ食べます。
最後の1個(毒りんご)を食べた人が負けです。
ルールはこれだけです。1年生でもすぐに理解でき、ペアですぐ遊べます。一方で、実は先に始めるか後に始めるかで勝敗が決まっているという、大人でも驚く構造を持っています。
授業の流れ
1. まずはペアで遊ぶ
ルールを確認したら、まずはペアで一度やってみます。「勝った!」「負けた!」と、とても楽しそうです。ここでは勝ち方を考えさせません。まず遊びとして成立させることが、あとの「なんで?」を生みます。
2.「先生と勝負しよう」
その後、「先生と勝負しよう」と言って対戦者を募ります。ここで教師は後攻を選びます。子どもが先に食べ、教師が後から食べる順で進めます。
対戦を進めていくと、子どもの番で残り5個になったところで、教室から声が上がりました。
3.「なぜ負け確定なのか」を説明してもらう
この時点で、負け確定に納得している子もいれば、まだ勝てるんじゃないかと納得していない子もいます。そこで数人に説明してもらうと、次のように話してくれました。
- 3個食べたら、先生は1個食べるから残り1個(毒りんご)になって負ける。
- 2個食べたら、先生は2個食べるから残り1個になって負ける。
- 1個食べたら、先生は3個食べるから残り1個になって負ける。
つまり、残り5個で渡された時点で、何を選んでも負けが決まってしまうのです。1年生が、3つの場合をすべて調べ上げて「どれを選んでもダメ」と言い切っている場面です。
4.「では、どうやって5個で渡すのか」
次の問題は、どうやったら残り5個の状態で相手に渡せるのか、です。そこで、代表の子と教師がどのようにりんごをとっているのかを、下のように可視化しました。
| 子ども | 先生 | 合わせて |
|---|---|---|
| ● | ● ● ● | 4 |
| ● ● | ● ● | 4 |
| ● ● ● | ● | 4 |
子どもが何個とっても、先生は「合わせて4個」になるようにとる
すると、残り9個になっているときも、どうとっても先ほどと同じように取られて、残り5個の負けパターンになることに気づきます。そして最終的に、後攻を選び、「自分の数+相手の数=4」になるようにとっていけば勝てることが見えてきました。
| のこり | 17 | 13 | 9 | 5 | 1 |
|---|---|---|---|---|---|
| この数で渡されたら | 負け | 負け | 負け | 負け | 負け |
17個からはじめると、先に食べる人が負ける形になっている
授業のあとに出てきたもの
必勝法がわかったあとも、「なんで4個なのかな?」と理由を探る声がありました。また放課後には、勝負を挑んできた子が、とれる個数や最初のりんごの数を変えようとルール変更をするという姿もみられました。自分でルールをつくりかえて確かめようとする、自主学習へつながる種だと思います。
「おだんごゲーム」は、毒りんごゲームと同じしくみのアプリです。コンピューターとも、ともだちとも対戦でき、おだんごの数や1回に食べられる数を変えて必勝法をさがせます。授業のあとの自主学習にどうぞ。
おだんごゲームであそぶ授業で使うときのポイント
- 教師は必ず後攻を選ぶ。17個の場合、後から食べる人が勝てる形になっています。先攻を選ぶと必勝法が使えません。
- すぐに必勝法を教えない。「負け確定だ!」という子どもの声が出てから、その理由を子ども自身に説明させることで、3つの場合を調べ上げる活動になります。
- 「合わせて4」を教師が言わない。とった数を可視化して並べると、子どもの方から見つけてきます。
- ルール変更はむしろ歓迎する。「りんごが20個だったら」「4個まで食べられたら」と変えたくなるのが自然な流れです。自主学習の課題として渡せます。
りんごの数を4で割った余りが1になるとき(5個、9個、13個、17個…)、その数を渡された側が負けます。17÷4=4あまり1なので、17個は先攻が負ける形です。 逆に余りが1以外なら先攻が勝てます。「1個〜3個」を「1個〜n個」に変えると、鍵になる数は n+1 に変わります。